小学1年生2学期の途中から、算数で繰り上がりの計算が始まっています。
1学期からずっと練習してきた「計算カード」や「いくつといくつ」が発揮される時がやってきました。
過去の奮闘ぶりは下の記事に書いているので、あわせて読んでみてください。
計算カード&いくつといくつ
繰り上がり計算がスタートし、ある日子供のノートを見ていると、変わった形の計算方法を見かけました。
それが「さくらんぼ計算」という名前の繰り上がり計算法です(引き算は繰り下がり計算法)。
これが親から見ると逆に難しいような気がしてしまうのですが、最近では小学校ではこの教え方が主流だそうです。
算数の繰り上がりにつかわれる「さくらんぼ計算」の意味やそのやり方・教え方といつから始まったのか?について紹介します。
さくらんぼ計算への考え方が変わってきた
最近はさくらんぼ計算の方が繰り上がりと繰り下がりを早く計算できると感じています。
この記事の最後に【さくらんぼ計算を制すると繰り上がり・繰り下がりの計算を制する」という考えになった】を追記しているのであわせて読んでみて下さい。
さくらんぼ計算とは?
さくらんぼ計算とは、算数の繰り上がりに使われる小学生向けの解き方です。
計算する時に使われる絵がさくらんぼの形に似ているので、「さくらんぼ計算」と言われています(上の図を参照)。
突然子供から「さくらんぼ計算を習った」という話を聞き知りました。
確かにさくらんぼの絵の形をした計算方法ですが初耳。
繰り上がり(答えが10以上)の足し算の時に、上ような○を2つ書き、枝分かれさせます。
2つ目の「5」の数字を「1」と「4」に分解して、くりあがりを考えるというものです。
これで子供が「サクッ」と解けていれば問題ないのですが、やはり混乱しているようです。どう教えれば良いのかを考えてみました。
「さくらんぼ計算」の解き方・教え方
では実際に解き方を紹介します。子供が理解できていなかったので、どう教えらたらわかりやすいのかを考えてまとめてみました。
1.まず10の位から見る
まず始めに1つ目の数字から「10の位」をつくります。最初の数字は「7」。ここで「10は7といくつ?(あといくつで10になるのか)」を考えます。
ずっとやってきた「計算カード」や「いくつといくつ」が完璧な子供にはあっという間に解けます。
答えは「10は7と3」、さくらんぼの○左側に「3」を書きましょう(図の黄緑色の場所)。
なぜ左側かというと10の位だからです。
2.次に1の位を見る
さくらんぼの左側に「3」を書きました。
次に「1の位」を見ます。1の位は「8」なので「8は3といくつ?」という答えを考えます。
「8は3と5」で、答えは「5」となります。さくらんぼの右側に「5」を書きましょう(図の黄緑色の個所)。
3.最後に10の位と1の位の答えを書く
右側は「5」と出たので、そのまま1の位を「5」と書きます(図の青色を参照)。
左側は「7と3で10」になりました。10の位なので「1」を書きます(図の赤色を参照)。
これで「さくらんぼ計算」を使った「15」という答えが出てきました。
教え方のコツとして「最初の数字をあわせて10にするにはいくつ必要か?」というのが一番に考えられると計算が早くなると思います。
やはり繰り上がりのない足し算と引き算をすぐに答えられるようにならないと、このあたりで手こずりそうな気がします。
「さくらんぼ計算」いつから始まったの?
親(保護者)の時代には無かった「さくらんぼ計算」、では一体いつから小学校で教えるようになったのでしょうか?
これは気になりますよね。僕も気になったので調べてみましたが、いつから始まったのかがわかりません。
「小学生のお父さんお母さん、さくらんぼ計算って知ってますか?」という質問が2005年(平成17年)に書かれています。
それ以前の年にはなかったので、おそらくこのあたりに登場したのではと考えられます。
追記:
「さくらんぼ計算」という言葉が使われたのは、21世紀になってから。教科書に載るようになったのは2002年からであることをTwitterで教えていただきました。
「さくらんぼ計算」という言葉が使用されるようになったのは、今世紀に入ってから、と思われます。また、繰り上がりがある足し算・繰り下がりがある足し算の指導法として、ほとんどの教科書に載るようになったのも、2002年から。
— kistenkasten723 (@flute23432) August 29, 2022
さくらんぼ計算の名前が使われたのが2002年からですが、それ以前から原型があったことがわかりました。
「学校図書」の教科書小学2年生上(1968年)p.18で使われています。たしかにさくらんぼの形をしています。
下の画像を参照して下さい
しかし、原型は1960年代の学校図書の教科書にすでに見られます。練習問題の1形式でした。 pic.twitter.com/j9T3xrCNWE
— kistenkasten723 (@flute23432) August 29, 2022
また、1980年の教科書にもさくらんぼの形はありませんが、あわせて10にする計算が使われています。
学校図書1(1985年)P.71より↓
1980年代の教科書にも。ここでは、単なる設問の1つではなく、説明原理として使われています。 pic.twitter.com/bYUvKbKiQN
— kistenkasten723 (@flute23432) August 29, 2022
以上のことから、「さくらんぼ計算」の名前は2002年ごろから使われるようになりましたが、1968年ごろからその概念や原理は使われていたということです。
貴重な情報をありがとうございました。
さくらんぼ計算には賛否両論ある
繰り上がりの算数を「さくらんぼ計算」で解くのは、親から見るとかなり違和感がありますね。
それは親は違う解き方をしてきたのと、瞬時に「1の位」の答えがわかり、その後「10の位」の1を入れるだけで良いというのがイメージできるからだと思います。
小学校の先生は繰り上がりというものを理解させるために、このやり方を採用しているのでしょう。
大人は1の位を分解し、それを10の位に入れたりしています。さくらんぼの図はイメージしていないだけで、考え方としては同じだと思います。
違和感がある方は、さくらんぼの図を計算式の下に書いて答えを導き出すという流れの方に違和感があるではないかと思います。
暗算ですぐに解ける子供や、くもんなどに通っている子供は、逆に混乱をしそう。すぐに答えだけを書いても×になる学校もあるそうです。
小1で算数を挫折する子供たちの中には、この「さくらんぼ計算」でつまづいてしまう子供が多いのだそう。
一つの計算の中で数字をたくさん書くので、途中まではあっていても、最後に答えを書くまでの間に混乱し、不正解となっているようです。
ウチの子供はそんな感じで、正解もあれば不正解もありという感じで、安定感がありません(苦笑)。
今回、子供の教え方をまとめてみてわかったことは、繰り上がりなしの計算「計算カード」と「いくつといくつ」の2つが出来ないと、「さくらんぼ計算」をすぐに計算できず遅れを取るということです。
何度も繰り返し練習すれば、パターン化してすぐに解けると思いますが、それ以前に嫌がってしまい、現在のところ最小限で抑えているのが現状です。
「さくらんぼ計算を制すると繰り上がり・繰り下がりの計算を制する」という考えになった
このブログを書いてから数年が経ち、考え方が変わったので追記します。
無料プリント教材「おうち学習キッズ」というサイトを作るにあたり、海外の計算方法を調べては分析しているのですが、ほとんどの国ではさくらんぼ計算が主流になっています(名前は異なりますが、考え方が同じ)。
さくらんぼ計算ができると、実際のところ計算が早くなりますからね。瞬時に10を作る考え方は重要だなと。
それ以降は「さくらんぼ計算」を制すると、繰り上がりと繰り下がりの計算を制することができるのでは?と感じています。
親の世代には無かったのでこれまで違和感がありましたが、海外では主流。これは認めて、子供にはメインで使えるように覚えさせています。
もし良かったら無料プリント教材なので印刷して練習してみて下さい▼
参考1:さくらんぼ計算・繰り上がりのある足し算(おうち学習キッズ)
参考2:さくらんぼ計算・繰り下がりのある引き算(おうち学習キッズ)
小学生通信教育教材について
「おうち学習キッズ」は無料版ですが、有料版についても当ブログで記事を書いています▼
足すと10になる数の練習に使える
「いくつといくつ」は足すと10になる数をすぐに出せれば、計算が早くなります。その練習にはdキッズアプリにもあったので興味がある方は読んでみて下さい